日本FIT会


2012年6月28日
FITセミナーシリーズ第2弾
「ファッションビジネスにおける留学」開催

 

 
お礼とご報告

日本FIT会会長 尾原蓉子

日本FIT会では、「ファッションビジネスにおける留学」セミナーと懇親会を、さる6月28日に東京大学伊藤国際学究センターで開催しました。

 

おかげ様で定員をはるかに超える方々に参加頂き、セミナーおよびパネル・ディスカッションも非常に密度の濃いものだったと御好評を頂きました。懇親会も熱気にあふれ大いに盛り上がり、主催者として嬉しく、有難く思っています。

参加者の方々、ご支援を頂いた企業や大学関係者、また講師やパネラー、そして日本FIT会の企画運営委員の皆さんに、心より御礼申し上げます。

 

簡単なご報告をしますと、この「留学セミナー」は、今年3月に㈱ファーストリテーリングの柳井正CEO兼会長やFITのJ・ブラウン学長などを講師に開催し大好評を頂いた「FIT特別セミナー」の第2弾として企画しました。(セミナーの内容は、チラシをご覧ください)
チラシはこちらへ→

 

「留学」をテーマとした理由は、(1)グローバル人材が不可欠な時代に入っている。にもかかわらず、(2)日本の内向き志向。とくに若者が留学や海外駐在に躊躇する傾向。(3)FB関連企業が、海外留学を推進したり留学体験ある人材の活用に積極的でない状況、などに危機感を感じたことにあります。

 

 

基調講演の講師、FIT准教授のエリカ・ローバックさんは、FITの特徴と留学生むけのOPT(Optional Practical Training=企業での実地訓練)プログラムについて話して下さいました。

 

FITの全日制学生数は、2011年秋学期で1万300人ですが、そのうち留学生は11%の912人(67カ国)。 国別のトップは韓国で376名(留学生の41%)、ついでカナダ、中国、日本は6番目。残念ながら日本からの留学生は、2005年からの7年間で83%減少し、現在は28人(3%)になっているという事でした。

46ある専攻の中で留学生が最も多いのはFashion Designで239名、ついでFashion Merchandising Managementが182名、Advertising & Marketing Communicationの60名。日本人の最多専攻はFashion Merchandising Management、ついでInternational Trade & Marketing, Communication Designとなっています。

OPT(企業での実地訓練)は留学生の80%以上がとっている選択プログラムです。これは専攻の勉強(2年)が終わった後1年間、実際にアパレルや小売企業あるいはデザイナー・ブランドに訓練生として就職し、現場体験を得るもので、報酬が得られる場合もあります。FITは実学を理念とし、1クラス最大25名の参画型教育を行っていますが、OPTは “2年+2年”の学位コースを設置しているFIT独特のプログラムで、他の大学にはありません。

ローバック氏のこの度の来日は、日本の大学の現状と留学に関する実態調査のため米国フルブライト委員会の派遣によるものですが、FITばかりでなく米国への日本人留学生が激減していることは非常に残念だ、と述べられました。

 

 

経営者の視点からの基調講演は、「今なぜグローバルなのか。求められるグローバル人材とは」のテーマで、(株)サンエーインターナショナル代表取締役社長 三宅 孝彦氏(FIT卒業生)にお願いしました。

 

三宅社長は、同社の1980年代以降の海外展開を、業界と時代背景を踏まえながら具体的に説明。時代と共に「グローバル化」の意味が変化していった経緯、また同社の「オリジナル」「ライセンス」「インポート」「グローバル・ブランディング」それぞれのポートフォリオが求める人材像を紹介し、グローバル人材の重要性を語られました。

まとめの「次世代に向かって求めたい人材像」では、「右手に感性、左手にそろばん」を前提に、4つの人材イメージ(下記)を提示されました。

1.発展途上人間:ポイントは

  (1)自律的に進化・自己成長出来る資質・志向 (2)狩猟性 (3)実行感度

2.フリークス:ポイントは

  (1)物事の本質を深く端的に掘り下げられる (2)アマチュアリズム (3)アンバランス

3.多様性を孕んだチームへのコミット:ポイントは

  (1)コミュニケーションでイニシアチブとれる (2)視野を広げられる (3)柔軟性

4.突破力:ポイントは

  (1)型にはまらない発想力 (2)孤高の人

非常に示唆に富み、また説得力ある講演で、参加者から、とても参考になった、大いに啓発的された、等のコメントを頂きました。

 

 

パネル・ディスカッション「ファッション・ビジネスのキャリアにおける留学の意義」では、FIT卒業生のパネラー、伊藤弘子氏(HISUIデザイナー)、布矢 千春氏(ジャーナリスト)、村上 潤氏(オンワード・カシヤマ・シンガポール社長)およびモデレーターの江草 未由紀氏(住友商事ブランド事業部課長)が、自身の体験をもとに留学の意義や後輩へのアドバイスを述べ、大いに盛り上がりました。

 
パネラーの方々が「最大の収穫」として上げたのは、「自立。自己表現に対する自信」、「どんなことにも物おじしない姿勢と責任感」、「海外慣れしたことで現地人の目線で、自然体で外国人に対応できるようになったこと」でした。

 

パネル・ディスカッションの詳細は、こちらへ

 

セミナー全体のメッセージともいえる、「留学に失敗は無い。迷ったら留学を」は、若い学生さんたちを、大いに元気づけたようで、このセミナーを開催して本当に良かったと思ったことでした。

以上

 

 

懇親会のご報告

  

セミナー後、会場を「ファカルティクラブ」に移して行われた懇親会には、セミナー受講者の大半がそのまま参加。その中に企業の人事部門担当者、ならびにセミナーの講演者、パネラー、その他のFIT卒業生そして日本FIT会の幹事が加わりました。

開会早々セミナー参加者は小さなグループに別れて留学体験者を囲み、これまで疑問に思っていたこと等を質問するというシーンが会場のあちらこちらで見受けられました。これから留学を目指そうという学生・社会人にとって体験者との直接的なコミュニケーションは、これまで漠然としていた自己の留学に対するイメージをかなり具体的なものとするきっかけになった様子です。

同じ方向を目指す同年代の人達との会話を通したネットワーキングも盛んに行われ、会は予定の閉会時間を大幅に超過する大変な盛り上がりを見せたとともに、参加者全員にとって貴重な時間となりました。

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